asfine 
うちの子はかわいい。
うちの子と言っても子ども……ではなく犬だ。
あのデカい身体で私に襲い掛かり、おもちゃを見せびらかしてくる気迫と重量感。
舌を出しニコニコと上目遣いでこちらを見てくる天性のあざとさ。
そしていつも私を癒してくれる体温高めな身体と優しいところ。
うちの子のすべてが愛おしい…そう目に入れても痛くないくらい。
しかし愛しのうちの子とは悲しいことに自宅でしか会えない。
これは本当に悲しい…。
本音を言えばいつでも一緒にいたい。
その願望に苦しめられていたある日、友達がインスタントカメラを持ってわが家へやってきた。
インスタントカメラとは、撮った写真をその場でプリントできる、所謂チェキが撮れるやつだ。
「最近スマホケースにチェキを入れるのが流行っているらしいから撮りたい」という友の言葉を聞きながら私は考えた。
うちの子のチェキをスマホケースに入れれば、理論上いつでも一緒にいられるのではないかとーー。
かつてない閃きをした私は、友に頼みうちの子のベストショットを撮ってもらった。
私は写真を撮るのが下手なので、今回は泣く泣く友に望みを託した。
動き回る元気なうちの子に負けじとファインダーごしに獲物を狙う友…。
動きが止まりこちらを見つめてきた次の瞬間…友がシャッターを押した。
ビビビビビッ…
インスタントカメラから写真がプリントされ、そこには世界一かわいいうちの子が投影されたチェキが現れた。
私はそのチェキを友から奪い、すぐさまスマホケースに挟み、 その愛らしさに子どもがかけっこで一等賞を取ったように喜んだ。
私は友のおかげで世界で1番かわいいうちの子のチェキと愛しのうちの子とのかけがえのない時間を手に入れたのだ。
チェキ激写から数日後…
私はうちの子といつでもどこでも一緒な幸せな日々を謳歌していた。
こんなに幸せな気持ちになれるならスマホケースに推しの芸能人のチェキを入れるのが流行る理由もわかるな…
そんなことを考えながら時間ができたらスマホケースを見つめ、私はQOLを高めるのだった。
ちなみにチェキの英雄である友にはお礼にご飯をご馳走した。
そのは話はまた別の機会にでも。
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